相続税と遺産分割のイメージ
平成27年1月1日(2015年1月)から改正施行された相続税について、巷では大きな話題と不安を呼んでいます。これまで相続税というと、一部の富裕層のみの税金というイメージが定着していましたが、今後は一般家庭についても十分課税される可能性が高まってきます。

ではそもそもなぜ相続税は支払わなければならないのでしょうか

 

■「富の再分配」がひとつのテーマ。

 

相続税にはいろいろな機能がありますが、その中の一つとして「富の再分配機能」というものがあります。例えば相続税がないとすると、金持ちの両親を持つ子供は、なんの努力もしなくても将来親の遺産を受け継いで金持ちになることが保証されます。

これでは、貧困家庭に生まれた子供との間で生まれながらにしてかなりの格差が生じてしまい、そしてその格差が埋まることは難しくなります。

そこで両親などから財産を受け継ぐ富裕層については、相続税という形で税金を徴収し、それを低所得者層への給付金などに充てることで所得の再分配を行うという機能があるのです。

 

■なぜ相続税が改正されたの?

 

このたびの相続税制度改正により、相続税の基礎控除額が大幅に引き下げられ、結果として多くの方が課税対象となりました

考えられる改正の要因は、主に2つです。

 

その1:税収の減少

 

単純に、相続税の税収金額が一昔前に比べて大幅に減少してきたためです。

財務省のデータによると、平成5年のピークを境にかなりの減少傾向にあり、平成26年の相続税総額はピーク時のおよそ半分程度まで落ち込んでいました。

この税収不足を解消するために、基礎控除を引き下げ、課税対象を広げたと考えられます。

 

その2:地価変動に対応させた

 

皆さんの記憶ではすでに薄れてしまっているかもしれませんが、バブル絶頂期であった平成3年前後を境に、地価はかなりの値下がりをしています。

相続税が課税される方の多くは、不動産所有者であることから、地価の変動は相続税の課税に大きな影響があります。本来であれば地価の変動にあわせて基礎控除額も見直す必要があったと思われますが、これまで変更が加えられていなかったため、今回の改正で現在の地価に見合った基礎控除額に変更したと考えられます。

 

※マメ知識:相続財産に含まれるもの

相続財産には、原則としてすべての財産が含まれます。つまり土地(宅地や農地)や建物、現金、預貯金、有価証券などすべてを含みます。

 

■相続税対策は、節税だけではない。重要なのは遺産分割。

 

相続税制度改正後、相続税対策を検討される方が急激に増えてきました。

確かに節税対策も重要ですが、相続税と切っても切り離せない問題があります。

それが「遺産分割対策」です。

相続税は、財産を相続する人が国に対して納税します。つまり、誰が何を相続するのかを事前に決めておかなければ、各々が準備しなければならない納税資金が見えてきません。

さらに言うと、誰が何を相続するのかによっても相続税に変化が生じるのです。

ですから、闇雲に節税対策を講じるのではなく、まずは弁護士に相談の上適切な遺産分割対策を立て、そしてその内容を遺言書に落とし込んで作成することがとても重要なのです。

 

■相続税は誰に相談すればいいの?

 

相続税の申告手続きだけであれば、当然税理士に相談すれば良いのですが、相続税には必ず遺産分割がつきまといます。

そして遺産分割と言えば「争族」という言葉に象徴されるようにトラブルがつきものなのです。

遺産相続が紛争化した場合は、弁護士でなければ対応することができません

 

最近では相続発生後の遺産分割を円滑円満に処理するために、生前に遺言書を作成される方も増えていますが、それだけで問題が解決するほど遺産分割は簡単ではありません。

遺言書の内容に相続人全員が納得すれば良いのですが、一人でも反対する人や異議を唱える人が出てくると途端に話はややこしくなります

 

■具体例で考えよう:お子様がいないご家庭のケース

 

子供がいない家庭で夫が死亡した場合、相続人は配偶者のほかに、夫の両親、いない場合は夫の兄弟姉妹が相続人となります。今回のようなケースでは、夫の亡き後、夫側の親族と配偶者とが揉めるケースが非常に多いのです。

例えば夫が妻にすべての財産を相続させる遺言書を残したとします。

その内容が法的に有効であれば、遺言書を執行すること自体は可能です。ただし、多くの場合夫側の親族から猛反対が起こり、今後の関係悪化を懸念した妻が、仕方なく法定相続分通りの遺産分割に応じるようなケースが多々あります。

これではせっかく遺言書を残しても、結果的にはなんの意味もなくなってしまいます。

こういったケースでは、遺言書を作成する段階から弁護士に相談し、遺言書の作成とあわせて「遺言執行」についても弁護士に依頼しておけば、上記のようなケースは防げたかもしれません。つまり、遺言執行者に弁護士を選定しておくということです。参考記事:いると便利!?遺言執行者とは?~円滑な遺産相続のために弁護士に依頼しましょう~

 

 

■具体例で考えよう:遺産分割が長引いて、相続税が高額に。

 

実は遺産分割協議がまとまらないと、相続税が高額になるってご存知ですか?

相続税には基礎控除以外にも、配偶者控除(配偶者の軽減措置)や小規模宅地等の特例など複数の控除制度が設けられており、これらをフルに適用させることで相続税を限界まで抑えることができます。

しかし、遺産分割が確定していない状態で相続税の申告期限である10ヶ月後を迎えてしまうと、これらの控除制度は適用できず法定相続分に従って相続したと考えて申告しなければなりません。つまりかなり高額な相続税を一旦納税しなければならなくなるのです。

あとから遺産分割が確定すれば、修正申告して還付を受けることはできますが、一時的にしても高額な納税資金が必要となることは相続人にとってかなりの負担となります。

 

 

これら二つの事例から分かること、それは、相続が発生したら迷わず弁護士に相談すべきということです。

遺産分割協議がもめた場合、間に入って意見調整をしたり、相続人の代理人となって他の相続人と話し合いをしたりすることができるのは弁護士であり税理士ではありません。

 

また、相続に強い弁護士の多くは相続税に強い税理士と提携しているケースがほとんどです。ですから、相続に強い弁護士に相談すれば、相続税申告までワンストップで対応してくれる可能性が高いので、安心して相談しましょう。

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