Q. 主人が亡くなったので、葬式費用が必要となりました。そのため、主人名義の預金を解約しました。しかし、その後、主人に借金があることが判明しました。ぜひ、相続放棄したいのですが、相続人が相続財産を処分すると、相続放棄をすることができなくなると聞きました。私は相続放棄できませんか?

A. 相続財産を処分すると、相続人は被相続人の一切の権利義務を包括的に承継したとみなされます。(民法920、921条Ⅰ項)。しかし、判例で、社会的にみて相当範囲内の葬儀費用、仏壇や墓石の購入のために被相続人の預金を解約するなどの行為は、相続財産の処分にあたらないとされています。ですから、解約したご主人名義の預金を、葬儀費用に使用した場合は問題ないと思われます(大阪高判H14.7.3家月55巻1号82頁)